2014年8月15日金曜日

20140724脳科学シンポジウムに参加して【2014-No.36】

こんにちは。
Shunichiroです。

お盆の時期ということで、久しぶりに実家に帰っています。
母の手料理を食べ、おやじと酒を飲み、おばあちゃのじいちゃんも合わせて団欒する、そんな幸せを噛みしめております。その中でどうしても大学の話や就職の話も、、、早く卒業して安心させてあげたいな~と思ってしまいます。


さて、しばらく時間が空いてしまいましたが、先月参加しました脳科学シンポジウム
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/seminar/2014/07/6070
に参加してきました。
(実は私、興味の幅が非常に広く、脳科学や神経科学なども勉強しております。映画トランセンデンスを見て以来、シンギュラリティの概念にも関心が生まれており、今後の未来を考えると脳科学はひとつ面白いキーワードになると感じております)

さてシンポジウムに参加しての学びや感想などを記事にしていきたいと思います。

  1. 人間の進化とは、脳と道具の共進化のプロセス
  2. まばたきと理解の区切りの関係
  3. 脳活動の辞書を作ろう

①人間の進化とは、道具の利用による環境コントロールの成果~「手の中の脳ー手と道具の人類史ー」~
人類の進化は道具の利用とともに進展していきました。
原始人における火の利用に始まり、農耕具や武器、さらには近代の産業革命など、人間の発展とその道具は密接な関係をもっています。

現在の社会において、人間だけが他の動物種と比べてより優位になっている理由の一つとして、道具の利用が挙げられますが、実はそこには一般的に考えられているよりももっと深い進化上の特異点がみられるとの事です。

生物学の祖、有名なチャールズ・ダーウィンの言葉で以下のようなものがあります。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一生き残ることが出来るのは、
変化できる者である。

良く聞く言葉ですよね。
動物は進化の過程で、その身体自体を変態させて過酷な環境に対応していました。

では、人間はどうでしょうか??
今の私たちの身体はこの数千年の中で大きく変わっていませんよね。寒い時期も暑い時期もあったことでしょう??でも私たちは自分達の身体を変態させることなく未だにこの地球上に生き延び、さらには地球全体を覆うほどにに繁殖さえしています。

その肝になったのが、道具であることは間違いありませんが。
実は特筆すべきなのが、その生存戦略なのです。


人間以外の他の生物は、環境に合わせて自らの身体を変態させることで生き延びてきました。自らの身体を環境に合うように適応させていくのが人間以外の生物の生存戦略です。

しかし、人間の場合は環境に合わせて身体を変態・適応させることをせずに、道具を用いて、環境そのものを改変することで生き延びてきています。寒ければ火を使い暖をとり、洪水になれば船をつくり、、、道具を利用することで環境そのものをコントロールすることで生き延びてきました。それが人間の生存戦略だったのです。

すなわち、
人間以外の生物=環境に合わせて、身体を変えて進化していく
人間=身体を維持しながら、道具を進化させて、環境自体を変えていく

人間とその他の生物の違いはそこにあるのだと言うことです。
そして、その生存戦略の結果、道具の利用とともに私たちの脳はさらなる発達をとげ、今の人間・社会というところを築くにいたった、との話しでした。



昨今の話題として、IoTであるとかシンギュラリティであるとか人間とテクノロジーが作り出す世界に対して色々な話もありますが、この話を踏まえると、私は楽観的な未来があるのではないかと思います。なぜなら人間の歴史そのものがテクノロジーと人間の脳の共進化の歴史であるならば、シンギュラリティの世界でも同じように人間の脳もともに進化をしていき、人間に適合した世界・環境を構築していく知性をもち合わせていると考えられるからです。
来るべきシンギュラリティの世界に対する新たな洞察がくわわりました。


②まばたきと理解の区切りの関係~「瞬きから探る脳内情報の仕組み」~
まばたきっていつも自然にしていますよね。
一般的にはまばたきって、目の乾燥を防ぐために自然に行われているものと思われていますが、実はまばたきには人の理解に対して大きな関係があるようです。

映画や動画、人の話を聞いている際の人の瞬きのタイミングなどを計測したところ、話し手も聞き手も話はじめや話の句切れでの瞬きが多いそうです。この点を人の理解という点で考察すると、話し手と聞き手の間で暗黙の情報の切れ目(理解の句切れ)が共有されていると考えられます。

すなわち、人は話の句切れ等で瞬きをすることにより、情報をブロック化して脳の中で理解しているのではないかと考えれます。まばたきというのは脳的にはその瞬間視界からの情報が寸断されています。その一瞬の合間にて、脳の中の情報処理の容量を増やし、まばたきとまばたきの間受け取った様々な情報の処理をおこなっていることが考えられるそうです。

まばたきによる情報処理の共有性。
瞬きによる、情報処理のブロック化。
という点は、非常に面白く感じられました。
話を聞きながら考えたことは、この情報処理のメカニズムを逆に利用すれば、例えばプレゼンテーションなどで相手の瞬きのタイミングを測ることで、こちらが提供している情報に対する相手の理解を推測することも可能になるんじゃないかなと思います。



③脳活動の辞書を作ろう~「脳が見る世界を可視化する」~
脳活動を測る装置がどんどん発達しており、ある行動や情報に対する脳の反応やその際の活動がかなり細部まで調べることが可能になっていまう。それを用いて、人に固有の脳活動について辞書をつくれないだろうかと模索しているそうです。

人の脳は、様々な現象に対して、脳をフルに動かし何らかの反応を起こしています。
ある脳活動に対して、どのようなインプットが生じたのか、あるいはどのような反応が生じるのかについて辞書みたいなものをつくり、解説できるようになることは非常にチャレンジングな取り組みです。

脳活動に関する辞書が出来れば、逆に脳活動をこちらからデコーディングすることが出来るようになり、人の感情や行動さえも制御できるようになる可能性もあります。少し怖い話でもありますよね。

また脳活動の辞書を作っていくことにより、固有のものや特有のものの見分けがつくようになり、人種・性別・文化ごとの脳活動の違いなどを浮き彫りにすることができ、将来的には脳神経文化人類学なども!?考えられるのではないかと思います。



以上、脳科学シンポジウムにて学んだことをざっくりではありますが、紹介させていただきました。脳科学分野って非常に難しいイメージがありますが、とても魅力的な研究に思います。脳科学の発展がどのように人類の発展に貢献していくのか、非常に関心が持てました。


それでは~~

Shunichiro


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