2020年5月3日日曜日

【読書】戦略参謀


組織の参謀、ナンバー2に求められるスキルや考え方などを紹介している。
コンサルにとっても非常に大事な観点が多かった。


◆メモ
・参謀に求められる力は、
「5感を通して現場を知り、問題があったときに『誰よりも早く、経営目線で最も適切な仮説を思いつくことができる能力』」とのこと
・筋のいい仮説とは、
 ・現場感がある
 ・腹落ちできる
 ・実行のイメージが湧く
  ★変革を実現する上ではここが一番重要
   当事者自身でやりたいことをちゃんとイメージできているか
   当事者自身でちゃんと言葉にして、伝えることができるか
   当事者が自身で動ける状態になっているか
・まずは徹底的に現状の見える化をする
 ・問題の起きている組織は、まず現状が全然見える状態になっていない
 ・低迷している企業では、社内に出回っている資料の質が低い
  ・内容が漠然としている
  ・何がいいたいのかわかりにくい
  ・因果関係が不明確/飛躍がある
 ・見える化されていないので、議論が空中戦になり、正しい結論にたどり着けない
 ・見える化されていないので、組織的な学習ができない
 →まずは、現状を正しく知り、正しい課題にたどり着く
  ・課題定義、イシュー・ディフィニッション
  ・「真実の瞬間」を知る
  ・イシューツリー/時代分析
・「ワクワクする」戦略プランになっているか
 ・ワクワク感は顧客自身の意欲にもつながる
合理的判断のできる環境に変える
 ・数字、ファクトで語る文化を作る
 ・判断の材料が見える化される
 ・正しい意思決定をするための場を設計する
  ・報告資料の設計
  ・会議体の設計
  ・会議の運営方法の設計、、、
 ・さらに、そこに行き着くための業務を設計する
  ・正しいプロセス、正しいレポートライン、正しい数字が取れるシステム、、、
 →数字、ファクトに基づくことで、組織に渦巻く「思惑」を排除できるように
・見える化した課題をもとに、"C→PDCA"を回していく
 ・戦略立案段階のPDCA
 ・実践段階のPDCA
 ・まずは、現状のチェックから
・ビジネスという事象を、サイエンスによって言語化できてるか
・アートとサイエンス
 ・アート  :まだ十分に言語化されていないものを対象とする
 ・サイエンス:言語化することにより再現性を持たせる

【読書】アウトプットの精度を劇的に高める「思考の整理」全技術


色んな本を読むたびに、
「コンサルタントはスーパーマンではない
ことがわかってくる。コンサル入る前までは、何でもできないといけない、スーパーマンのように感じていたが、そうではないことがわかってきた。

本書を読む中で、当然ながら目的思考や、MECEみたいな話しが出てくるが、大事なことは、それを一人でやりきるということではなく、

ちゃんと顧客(当事者)と会話しながら、核心に近づいていく/足りないピースを埋めていくこと

なんだな、と感じている。
一人でやるから偉い/すごいというのは誤ったコンサル像。
色んなフレームワークとかも活用しながら、正しく、検討の方向性/プロセスを定めていくことが大事。一人でやろうが、みんなでやろうが、顧客と会話しながらであろうと形は関係ない。本当に大事なところにたどり着けるかどうか。ただそれだけ。



◆メモ
・まず、目的が全て
・目的から、逆算で考え、成果物ベースでプロセスを固めていく
 ・このあたりは、弊社でもワークパッケージでアプローチしていく考え方と似ている
・状態の変化
・MECEは、今の情報で整理した後、ほかの漏れがないかをチェックする
・比較・分析も目的ありき
・コンサルタントはスーパーマンではない
・1番大事なことは当事者に確認せよ。
 ・そこを外したら、意味がなくなる

【読書】2回以上、起業して成功している人たちのセオリー


日本のシリアルアントレプレナーの考え方などを探って、整理した本。
各起業家のストーリーを読んでいくと、起業/事業開発において、よく言われることだが改めて大事な事柄を考えさせられた。

◆メモ
・「〜っぽい」という、思いを感じられるか。心が沸き立つか
・こちらは裸一貫。なので、正攻法をとらない、どう抜け道から攻めるかを考えるべし
・一隅を照らす
・自分の事業、アイディア、発見した課題に確信が持てるか
・とにかく顧客やサプライヤーと話す
 ・現場を見る
 ・現場や、顧客の語る言葉に勝るファクトなし

・コトづくり
 ①市場調査を信じない。自分の足で調べる。
 ②事業計画にこだわらない
 ③キャリアを積み重ねない
 ④度胸で勝負しない
  ・石橋を叩いて渡る
  ・最大失敗許容範囲を定める
  ・しっかりリスクヘッジをしておく
 ⑤運がいいと信じている
 ⑥「何をやる」よりも、「誰とやる」か
 ⑦「弱み」に徹する
  ・弱みは克服できない
  ・弱みは徹底的に、他の人にお願いする
  ・自分は、自分にしかできないことに集中する
 ⑧競合ではなく、協業











【読書】ブレークスルーの瞬間


色んなビジネスの”ブレークスルーの瞬間”をまとめた書籍。
事業におけるここぞ、というポイントを知れる。

そのビジネスの肝となる部分を抑える、そのための戦術として、
 ・圧倒的な大きさの巨艦店で要所を抑え込む(ヨドバシ)
 ・モノ/サービスの流通を抑える(ソフトバンク)
 ・一点突破ではなく、すべてが圧倒的によい(トヨタ)
  ・ゼロベース思考
 ・店舗が命の飲食業においては、ハコの使い方そのものが肝(マクドナルド)
 ・あえて、売らない。大手とは組まず、あえて業界中位の企業と組む(ウェブマネー)
  ・大手ほどの販売力があると、すぐに在庫切れして、不評につながる
  ・業界中位だから、ある程度販売力もある上に売れてきたら、大手も無視できない
  ・その間に、生産力と品質を高める
  ・大手と提携できる頃には、すでに十分な評判、生産力、品質を獲得している
  →自分のビジネスにおける、最も重要な指標が何かを理解している
   ・今回のケースの場合、
    ・販売数ではなく、「生産力」
    ・生産力にちょうど見合うサバける力だけの、適切な販売量
     つまり、「生産力と販売数の適切なバランス」
    がそれに当たるだろう

などが挙がっている。
すぐに何かに適応できるものを持ってるわけではないが、上記のような考え方が当てはまる例が他にないか、考えてみたい。




【読書】なぜ国家は衰退するのか


コロナ禍により、今まで隠されてきた/気づかれてこなかった、色んなモノが表出してきている今だからこそ読んでみた。今の日本の現状と照らし合わせて読むと、非常に身につまされるし、国家の衰退過程を疑似体験できるようだ。残念ながら。


◆メモ
・発展する国と発展しない国(衰退する国家)の違い
 ・民主的な政治制度
 ・包括的(非収奪的)な経済制度
  ・競争がある
  ・きちんと保護されている
   ・生命や財産が守られる
   ・公正な裁判があるなど
 →イノベーションへの意欲とインセンティブが確保されている
 ・例)韓国Vs.北朝鮮
・政治、経済、そして法は非常に密接に関連していることを改めて理解した。本書の大きな流れを見るだけでも、3者がつながっていることがわかる。
・フィードバックループにより、上記のような違いが徐々に強化され、大きな差につながっていく
・全体主義的な政治制度、収奪的な経済制度でも一時的には成長できるが、いずれ成長力が落ち、衰退していく
 ・当初は、強権による選択と集中で特定分野の競争力が高まる
 ・しかし、いずれは、その分野の競争力が下がっていく
 ・他に強い分野がなく、競争力を維持できなくなる
 ・既得権益を維持しようとする圧力が働くため、さらに収奪的になっていく
 ・その結果、徐々に衰退していく
・「我々は大衆が豊かになって独立心を養うことを望んではいない。そうなったら、彼らを支配できないではないか」
 ・権力者による、イノベーションへの妨害
 ・独占意欲から、インフラ投資の減少
・「現代において、国家が衰退するのは国民が貯蓄、投資、革新をするのに必要なインセンティブが、収奪的経済制度のせいで生み出されないからだ」


◆感想
・残念ながら、まるでどこかの、身近なある国のことを言っているように感じる。
・問題は、ではこのような状況をどう変えていくのか、というところに尽きる。我々にできることはなんだろうか。今の全体主義的で収奪的な社会を変えるには、
 ・選挙に行き、正しく政治家を選ぶ
 ・ウミガメとなり、国外で力をつけ、黒船として里帰りする
くらいなのか。。。他に何ができるだろうか。

・今のコロナ禍への政府対応の様子を見ていると、個別の業界の要請に縛られて機能不全になっているような気がしている。なるほど個別の事情は色々あるのはわかる。しかし、そのせいで、あちらを立てればこちらが立たない。”すくみ”の状態のため、前にも後ろにも進めず、にっちもさっちも行かないように見える。

政治は本来、上記のように個別最適化により、歪な状態になってしまうのを防ぎ、あくまで全体最適の視点で意思決定をするのがその役割ではないのだろうか。そこには、どこを活かし、どこに我慢してもらうなどの痛みを伴う駆け引きが発生するだろう。

それをするためには、「全体はこうあるべき」という強い意志(ビジョン)が必要になると感じている。その信念のもとに、犠牲を受け入れるという話になるはずである。しかし、残念ながら、上記のような強い信念を持つ骨のあるものなどまるでいないように見える。。。やはりリーダーシップの核は、Want toや意思、信念なのだろう。


【Issue】
・本書記載のとおり、適切な競争のためにもある程度権益を守る必要はある。一方で、行き過ぎた保護は、イノベーションを阻害する。このバランスをどのように取るべきだろうか。また、このバランスが崩れないよう、どのように力の押し引きをするのが良いのだろうか。




【読書】採用基準


言わずとしれた、マッキンゼーの採用担当をやっていた伊賀さんの本。
学生時代に読んで以来数年ぶりに読んでみたが、コンサルファームに在籍している今だからこそ改めて学びになる部分も多々あった。


◆メモ
・地頭の良さよりも、思考のプロセスや考えることが好きかどうか、をみている
・思考意欲、と思考体力
 ・特に、思考体力は普段どれだけ考えているかの積み重ね
・面接の1時間の中でもどれだけ成長しているか
・思考のプロセス
 ・掘り下げる
 ・組み上げる
  ・今は存在しない世界をゼロからイメージして組み上げていく
  ・ゼロから新しい提案の全体像を描く構築力や設計力
  ・独自性があり、実現したときのインパクトが極めて大きな仮説を立てる能力
  →ToBeを描く力、新しい仕組みの設計
・リーダーシップ・ポテンシャル
・問題解決に必要なものは、頭の良さや分析力ではなく、リーダーシップを発揮して、色んな人を巻き込んで動いていけるか
 ・全員がリーダーシップを発揮して問題解決にあたる
 ・青臭い夢、目標、あるべきを語る
 ・身近な問題でもリーダーシップを発揮できるか
 ・自分から言い出せるか、、、
・世の中で”問題”となっているのは次の2つ
 ・どうすればいいのかみんなわかっているが、誰もやろうとしないために解決できないまま放置されているモノ(=適応の課題)
 ・答えさえわかればすぐに解決できるが、その答えが見えないモノ(=技術的課題)
(→ロナルド・ハイフェッツ教授の白熱リーダーシップ教室が思い出される)
・とにかく決める。決めて、前に進める。
 ・決めるために必要な材料は何か
 ・どこまで材料を集めれば決められるか
 ・どう材料を集めるか


◆感想
・自分が在籍しているファームでも、リーダーシップが大事にされているが、ウチではリーダーシップと言わず、オーナーシップとか「いいだーしっぺ」とか言ったりしている。リーダーシップというと身構えてしまうが、オーナーシップ/いいだーしっぺなら、割とまだ気軽な感じがする。

いいだーしっぺ、という言葉が象徴しているように、まずは身近なこと、どんな小さなことでもいいので、言い出す、自分から何かアクションを起こすのが大事。

プロジェクトやってる中では、気になることや改善できる部分、モヤモヤする部分が無数に発生するので、そういうものにちゃんとアンテナ張って、まずは「言い出す」ところから始めていきたい。(特に、PMOは「いいだーしっぷ」の宝庫だと感じている。課題解決の方法、ToDo管理の方法、、、色んなところに「言い出せる」余地がある)

・コンサルに必要な能力として、掘り下げる力/分析する力はよく言われる一方、構築する力/ToBeをイメージする力はあまり言われないが、こっちも非常に大事な力。むしろ、世のコンサル本ではなぜ組み立てる力への言及が少ないのだろうか。(手前味噌ながら、事業構想大学院中も上のような視点を持ててたら、また違った学びになっていただろうな。。)