コロナ禍により、今まで隠されてきた/気づかれてこなかった、色んなモノが表出してきている今だからこそ読んでみた。今の日本の現状と照らし合わせて読むと、非常に身につまされるし、国家の衰退過程を疑似体験できるようだ。残念ながら。
◆メモ
・発展する国と発展しない国(衰退する国家)の違い
・民主的な政治制度
・包括的(非収奪的)な経済制度
・競争がある
・きちんと保護されている
・生命や財産が守られる
・公正な裁判があるなど
→イノベーションへの意欲とインセンティブが確保されている
・例)韓国Vs.北朝鮮
・政治、経済、そして法は非常に密接に関連していることを改めて理解した。本書の大きな流れを見るだけでも、3者がつながっていることがわかる。
・フィードバックループにより、上記のような違いが徐々に強化され、大きな差につながっていく
・全体主義的な政治制度、収奪的な経済制度でも一時的には成長できるが、いずれ成長力が落ち、衰退していく
・当初は、強権による選択と集中で特定分野の競争力が高まる
・しかし、いずれは、その分野の競争力が下がっていく
・他に強い分野がなく、競争力を維持できなくなる
・既得権益を維持しようとする圧力が働くため、さらに収奪的になっていく
・その結果、徐々に衰退していく
・「我々は大衆が豊かになって独立心を養うことを望んではいない。そうなったら、彼らを支配できないではないか」
・権力者による、イノベーションへの妨害
・独占意欲から、インフラ投資の減少
・「現代において、国家が衰退するのは国民が貯蓄、投資、革新をするのに必要なインセンティブが、収奪的経済制度のせいで生み出されないからだ」
◆感想
・残念ながら、まるでどこかの、身近なある国のことを言っているように感じる。
・問題は、ではこのような状況をどう変えていくのか、というところに尽きる。我々にできることはなんだろうか。今の全体主義的で収奪的な社会を変えるには、
・選挙に行き、正しく政治家を選ぶ
・ウミガメとなり、国外で力をつけ、黒船として里帰りする
くらいなのか。。。他に何ができるだろうか。
・今のコロナ禍への政府対応の様子を見ていると、個別の業界の要請に縛られて機能不全になっているような気がしている。なるほど個別の事情は色々あるのはわかる。しかし、そのせいで、あちらを立てればこちらが立たない。”すくみ”の状態のため、前にも後ろにも進めず、にっちもさっちも行かないように見える。
政治は本来、上記のように個別最適化により、歪な状態になってしまうのを防ぎ、あくまで全体最適の視点で意思決定をするのがその役割ではないのだろうか。そこには、どこを活かし、どこに我慢してもらうなどの痛みを伴う駆け引きが発生するだろう。
それをするためには、「全体はこうあるべき」という強い意志(ビジョン)が必要になると感じている。その信念のもとに、犠牲を受け入れるという話になるはずである。しかし、残念ながら、上記のような強い信念を持つ骨のあるものなどまるでいないように見える。。。やはりリーダーシップの核は、Want toや意思、信念なのだろう。
【Issue】
・本書記載のとおり、適切な競争のためにもある程度権益を守る必要はある。一方で、行き過ぎた保護は、イノベーションを阻害する。このバランスをどのように取るべきだろうか。また、このバランスが崩れないよう、どのように力の押し引きをするのが良いのだろうか。
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