年明けに、「これから資本主義はどう変わるのか?」
という本を読んで以来気になっていた本
「使える弁証法」を読んでみた。
という本を読んで以来気になっていた本
「使える弁証法」を読んでみた。
弁証法を用いることで未来を予見できるようになるという話。
「これから資本主義はどう変わるのか」でもなかなかに面白い社会の進化を述べていたので、非常に興味深く読ませてもらった。
弁証法とは?
弁証法とは「正-反‐合というプロセスを通じて思考や議論を深めていく手法」
である。ある命題(テーゼ)とそれに対する反論(アンチテーゼ)を行っていくことで、お互いの議論をより良い方向へ止揚していこうというものだ。
この弁証法には5つの重要な法則があり、これらの法則に従って世の中を見ていくことで、未来を予見できるようになるのだという。
その5つの法則とは
①螺旋的発展の法則
②否定の否定による発展の法則
③量から質への変化
④対立物相互浸透の法則
⑤矛盾の止揚による発展
いくつか例をあげながら簡単に紹介していきます。
①螺旋的発展の法則
世の中のすべての物事の進歩や発展は、右肩上がりに一直線に進歩・発展していくのではなく、あたかも螺旋階段を登るようにして進歩・発展していきます。
例えば、ネットオークション。
これは以前に存在していた”競り”の螺旋階段が一段上がったところのビジネスモデルです。
昔(平安時代とか鎌倉時代とか?)は市場(いちば)で物を売る人買う人が互いに値段を交渉して取引を行っていたが、効率が悪かったため、市場(しじょう)での値札にそって取引が行われる形になりました。
しかし、ネットが広く普及されるようになったことで、売る人買う人の値段交渉コストが大幅に下がった結果、ネットオークションという形で”競り”が復活したのです。
以前と同じ方式ではあるけども、その行われ方がより進化して世に復活している螺旋的発展の例の一つです。
②否定の否定による発展の法則
最初はある物事が否定される形で変化が始まるが、その変化の極点においてその否定そのものが否定され、新たな発展が生じる
例えば、オンライントレーディング。
以前、証券会社株のの売買は顧客と直接対面で行っていたため手数料が高かったのですが、それを否定し、新たにネット証券が誕生し手数料を安くしたオンラインでの売買が行われるようになりました。
これが第1の否定です。
次に多くのネット証券会社が生まれたことにより、価格競争に限界が生じました。
今度はこの価格競争を否定し、サービス面での強化を行うという方向に向かいました。
これが第2の否定。
こうやって物事は否定の否定により、螺旋を一段登ったところへの発展が行われていくのです。
後の法則については割愛
弁証法で身に付く能力
以上みてきたように、弁証法のプロセス=「正‐反‐合を通じて思考を進化させる手法」を見てきました。先ほど紹介した5つの法則を用いて社会を見ていくことで、次のような能力を身につけることができます。
・世の中の変化の本質がわかる「洞察力」
・世の中の変化の未来が見える「予見力」
そして、
・対話力
弁証法とは、そもそもよりよい議論を行うための手法。
正‐反‐合を意識していくことで、社会の見方・考えたが変わり、さらにそれを議論するときにお互いの主張は何であって、その反論は何であって、それら止揚するようなものは何か?と自然に考えられるようになっていきます。
また、弁証法を用いていくことで身に付くもう一つの能力(?)が
・歴史観
です。
弁証法を通じて、過去を考え、未来を予想していくことで歴史観が磨かれ、社会に生きる一人の人間としてのあり方や目指す方向などを考える手助けになっていきます。
これが、弁証法を使っていくことによる重要な意義と考えられます。
現在、グローバル化や企業の海外進出、世界で通用する人材の育成など世間では色々なことが議論されていますが、今紹介したような弁証法的思考能力、そしてそれを通じた歴史観を身につけることができれば、どこに行っても通用するような人間になれるのではないだろうか、と思います。
私も精進していきたいと思います。
麦粒が大麦になりそれが大量の麦粒になることと、正の数aが負の数-aになりさらにこれが正の数aの自乗になることを「同じもの」とみなせるまで40年かかった。弁証法おそるべし。
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