2013年7月16日火曜日

シャープに生きる

こんばんは。
Shunichiroです。

少し前の話になりますが、大阪大学にて「Makers Summit(http://makerssummit.com/)」と題したイベントが行われました。このイベントでは、3Dプリンターに始まる今後のモノづくり日本の在り方について、デザイナーや起業家など著名な方々が簡単な講演を行い、パネルディスカッションをする、というものでした。
イベントの中で面白かったな、と思うものを記事にしていきたいと思います。


登壇した方々の中で、特に面白かった方は「石黒浩」阪大教授と「川崎和男」阪大教授のお二人です。何が面白かったかというと、そのイベントの中でお二人の哲学が垣間見られたこと。お二人とも世界という舞台で高い評価を受けている人物で、世界を相手に自分なりの姿勢で以て挑んできた歴史を感じさせます。


いくつかエピソードを紹介したいと思います。

川崎和男教授は、今回のイベントの主旨「Makers」とトレンドそれ自体に対して、警鐘(!)を鳴らしていました。そんな簡単なものじゃない。トレンドに乗っかって色々騒ぎが起こりそうだ。等など。

なぜ彼がそう言うのか?
メーカーはモノづくり(製品)はもちろん大事だけど、それ以上に大事なのが‘サービス’である、と。販売、壊れたときの修理や回収などなど、サービス体制が整っているから製品を安心して使うことができるのだと言う。3Dプリンターを利用が広がっていくと「一人家電メーカー」なども可能になっていく。(イベントには実際に「一人家電メーカー」を行っている起業家の方もご登壇していた)その場合たった一人でどうサポート体制を築くのか?そういった点を非常に危惧しているようです。

また、工業を行っていく場合、非常に大事になるのが知的財産の問題。
新しい製品を市場に投入した場合、すぐに模倣されていく。ある国などはオリジナルな製品よりも模倣製品の方が出回ってしまっているし、その模倣製品をおくびもなく輸出している。特にデジタルな情報を扱っていく3Dプリンターの場合、データ自体の所有権をどうするのか?どう知的財産を護っていくのか?そこが非常に大切で、Makersでもそういった視点を持たなくてはならない、とおっしゃっていた。


次に石黒先生の話。
彼はパネルディスカッションでエコについての話になった際に、巷にあふれるエコな製品は本当の意味ではエコではない、まがいものだ!とおっしゃっていた。なぜか、消費電力を抑えたといってもほんの少しのものでしかないし、ある理想的な環境下でそれが達成されるだけでユーザーの生の使い方では消費電力は変わっていない。なのに、過剰にエコを演出して、高感度を上げて売り上げにつなげようとしている、と。この世界では生産活動を行うことそれ自体が、二酸化炭素を排出し資源を浪費し、エコとは正反対の営みですらある、と。


この二人に共通する姿勢で、私が非常に感銘を覚えたのは、「社会のトレンドにあえて警鐘を鳴らす」「社会のタブーを打ち破る」その姿勢です。川崎先生にしろ、石黒先生にしろ、その‘あえて’社会に警鐘を鳴らし、本質に切り込んでいく‘シャープさ’があるんです。

日本社会はある意味‘空気’に支配されており、社会のタブーにはなるべく触れないようにするのが普通です。しかし、この二人はあえてタブーに触れ、空気を壊し、本質に迫ろうとしています。その態度、姿勢、そのシャープさが私には非常に印象的にうつりました。




余談ですが、「今後モノづくりに挑んでいく若者が行うべきことは?」という会場からの質問に対して、石黒先生の答えが素晴らしかったです。「哲学」その一言に尽きる、と。
う~ん、とても深いですね。



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