2013年7月17日水曜日

イノベーションのジレンマと株主

こんばんは。
Shunichiroです。

先ほどのエントリー「長期的視野に立ちたい経営者と短期的利益を追求する株主」にて、短期的な利益を求める株主の姿勢が、ひいては企業のイノベーションを妨げているということを、ちらっと述べさせてもらいました。今回はその点について考えていきたいと思います。


先ほど述べたように、戦略とは長期的な視野に立って経営を考えることですが、短期的利益を追求する株主によって、経営者は戦略を立てられず、いずれは競合企業に負けてしまいます。どういう動機であれ、市場では自分たちが固執してしまっているビジネスのやり方、製品に対して、それを全く越えてしまうような革新的なビジネス、製品が出現してくるのです。そうして、今まで優位を誇っていた大企業も、あっという間に新たに台頭してきた企業によって駆逐されてしまいます。
これを、有名なビジネス用語で「イノベーションのジレンマ」と言います。

イノベーションのジレンマとは、
イノベーションのジレンマ(The Innovator's Dilemma)とは、巨大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の理論。

であり、
大きな企業においては、規模の大きい既存事業の前に現れる新興の事業や技術は小さく、魅力なく映るだけでなく、既存の事業をカニバリズムによって破壊する危険があるため、新興市場への参入が遅れる傾向にある。優れた特色を持つ商品を持つがゆえに、その特色を改良する事のみに目を奪われ、顧客の別の需要に目が届かず、既存の商品より劣るが新たな特色を持つ商品を売り出し始めた新興企業に大きく遅れを取ってしまうのである。

とあります。イノベーションのジレンマがなぜ起こるかというと、
  1. 優良企業は顧客のニーズに応えて従来製品の改良を進め、ニーズのないアイデアについては切り捨てる。イノベーションには従来製品の改良を進める持続的イノベーションと、従来製品の価値を破壊するかもしれない全く新しい価値を生み出す破壊的イノベーションがあるが、優良企業は持続的イノベーションのプロセスで自社の事業を成り立たせており、破壊的イノベーションを軽視する。
  2. 優良企業の持続的イノベーションの成果はある段階で顧客のニーズを超えてしまい、顧客はそれ以降においてそうした成果以外の側面に目を向け始め、破壊的イノベーションの存在が無視できない力を持つようになる。
  3. 他社の破壊的イノベーションの価値が市場で広く認められた結果、優良企業の提供してきた従来製品の価値は毀損してしまい、優良企業は自社の地位を失ってしまう。

ということです。


持続的なイノベーションを行っている限り、破壊的イノベーションには辿りつかないし、いつかは破壊的イノベーションを行った新興企業に打ち負かされます。しかし、破壊的イノベーションを行うためには戦略が必要になり、今現在の収益性ではなく、将来の未知の可能性に飛び込んでいかなくてはなりません。それには、往々にしてリスクが伴うし、新たな資源の配分も伴います。


しかし、企業のそういった戦略を阻んでしまうのが株主の存在なのです。
先ほども申し上げたように、株主の関心は短期的利益の追求にあります。そのため、リスクのある将来の投資に対してはシビアな態度を示し、ある程度の収益を上げている現在のビジネスのやり方に賛同します。

それが、結果としてイノベーションのジレンマを招いてしまい、可能性が未知の新規事業に踏み出せなかった大企業はその優位性を失っていくのです。

先日の授業でイノベーションについて扱った際の講師の言葉が思い出されます。
「まだ存在していない市場を分析することはできない」
非常に示唆に富む言葉だと思います。



経営と株主の在り方について、まだまだ模索される必要がありそうです。



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